もし検査でポリープが見つかったら…「胆のうがん」病院選びのポイントは

俳優・渡瀬恒彦さんが胆のうがんで亡くなりました。悪性度の高いがんですが、実は早期発見出来るケースが、日本では多いのです。

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ふくろ状の臓器だからこそ、初期症状が出ない
胆のうという臓器について、日常で意識することはほとんどないと思います。
胆のうは肝臓の下にあり、胆汁という消化液をいったんためておく袋のような臓器です。「のう」とは袋という意味です。

食事をすると、胆のうはその情報を受けて、ためておいた胆汁を排出します。十二指腸で胆汁とすい液が一緒になることで、脂肪やタンパク質を分解して腸から吸収しやすくします。

胆のうはふくろ状の臓器なので、その中でポリープが大きくなっても直ちに症状が出ることはありません。そのため、胆のうがんは早期段階では自覚症状が表れないことが多いのです。

症状は、がんが進行してから表れる
胆のうは壁が薄く、容易に隣接する臓器に浸潤してしまいます。リンパ節転移、肝転移も起こします。そこまで進行してくると、様々な症状が出現します。

●腹痛 最も多い臨床症状としては、右上腹部痛で80~90%程度の方が訴えます。

●悪心嘔吐 悪心・嘔吐の症状も多くの方に現れます。

●黄疸 がんが大きくなることによって胆道が狭められ、行き場のなくなった胆汁が血液中に流れ出すようになります。皮膚や白目の部分が黄色くなりますが、意外に自分では感じにくく、多くは以下の症状で異常に気付きます。
◆白色便
◆黄疸尿
◆かゆみ

胆のうがんはアジアの女性に多い
胆のうがんは、好発年齢は60~70歳台で、男女比は1:2と女性に多く見られます。地域的には、日本を含むアジアと南米のチリで発症する人が多いという統計上のデータがあります。食生活や人種によるものではないかと考えられていますが、この点についてはまだ明らかになっていません。

手術は「なれている」病院で
胆のうがんの治療は手術が第一選択です。

ただし、がんの形態や進行の度合いはさまざまなので、実際に手術で切除できる割合は60~70%です。

胆のうがんの手術は、がんの深さ・広がり・転移の有無など考慮して、切除する範囲や手術方法を決定します。安全性と根治性を熟慮して、どこまで切除するか、どういった手法で行うか、外科医とそのチームの力量が問われる点です。

そこで重要なポイントがあります。

それは、胆のうがん手術は、実績の多い病院で受けること。症例数の多い施設の方が治療成績が良い傾向があります。胆道がん(胆のうがん・胆管がん・十二指腸乳頭部がん)の手術を、毎年20例~30例以上実施している病院で手術を受けたほうが良いでしょう。